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症例 · セラネート(ラミネートベニア)

矯正後のブラックトライアングルを、再矯正せずラミネートベニアで治した30代の症例|来院2回・2日

執筆・監修:キム・ソンミン(金善敏) セラミック歯科 代表院長・矯正歯科専門医 · 最終更新 2026-10-24

矯正後に残ったブラックトライアングルは、ラミネートベニアで治せますか?

治せることがあります。この症例では、2回の矯正のあとも残っていた上の前歯のブラックトライアングルを、再矯正をせず、上の歯8本(第一小臼歯から第一小臼歯まで)のセラネートで見えなくしました。相談当日に歯の準備をして翌日に装着し、来院2回・2日でした。

こんにちは。セラミック歯科 代表院長のキム・ソンミンです。矯正歯科専門医なので、前歯のご相談ではまず「矯正とラミネートのどちらが合うか」から考えます。今回ご紹介するのは、ブラックトライアングルを治したくて矯正を2回受けたのに、前歯のあいだの黒い三角形が残ってしまった30代の女性です。なぜ今回は矯正ではなくラミネートベニアを選んだのか、短く幅広い前歯と左右で長さの違う犬歯をどう一緒に整えたのかを、順番にお話しします。

症例の概要

  • お悩み:上の前歯のあいだの黒い三角形(ブラックトライアングル)から、矯正の保定装置のワイヤーが見える。前歯が短く幅広く見えるのも気になる。ブラックトライアングルを治すために矯正を2回受けたが、すき間は残った(30代女性)
  • 診断:上の真ん中の前歯2本のあいだにブラックトライアングル。歯が短く幅広い形。奥歯でかんでも前歯が当たらないオープンバイト。右上の犬歯の先がすり減って短く、左右の犬歯の長さが違う
  • 治療:上の歯8本(右上の第一小臼歯〜左上の第一小臼歯)にセラネート(e.maxセラミックのラミネートベニア)。長さと幅の比率、色を調整し、かみ合わせを調整
  • 削る量:5本は0.2mm以内で麻酔なし。左上の犬歯だけ、ご希望のデザインのため約0.7mm(麻酔あり)
  • 本数:上の歯8本
  • この症例の日程:相談当日に歯の準備(形成)、翌日に装着。来院2回・計2日
  • 海外からお越しの方の目安:ラミネートは通常1〜2週間で2〜3回の来院
矯正後に残ったブラックトライアングル 治療前(上)と、上の歯8本のラミネートベニア治療後(下)
矯正後に残ったブラックトライアングル 治療前(上)と、上の歯8本のラミネートベニア治療後(下)
治療前:上の真ん中の前歯のあいだのブラックトライアングルから、矯正の保定装置のワイヤーが見えている
治療前:上の真ん中の前歯のあいだのブラックトライアングルから、矯正の保定装置のワイヤーが見えている

なぜ矯正のあとにブラックトライアングルが残るのですか?

ブラックトライアングルは、歯と歯のあいだの歯ぐき(歯間乳頭)が、すき間を埋めきれずに黒い三角形に見える状態です。重なっていた歯が矯正でまっすぐ並ぶと、隠れていたすき間が見えるようになることがあります。

研究では:20歳以上の成人矯正患者337人の治療後の写真を調べた研究では、上の真ん中の前歯のあいだにブラックトライアングルが見られたのは38%でした。歯と歯の接触点が短い、または歯の先寄りにある場合、歯の頭の形が三角形に近い場合、根の向きが開いている場合に多く見られました。
出典:Kurth JR, Kokich VG. American Journal of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics, 2001

矯正でブラックトライアングルを小さくするときは、歯の側面をごくわずかに削る「IPR(歯間削合)」をして、できたすき間を寄せます。歯と歯が接する点から、その下の骨までの距離を近づけるためです。私はこの距離を5mm以内にするのが理想だと考えています。歯ぐきのボリュームが保たれた状態で歯のあいだを狭めると、歯ぐきが押し上げられてすき間が埋まっていきます。

なぜ「5mm」なのか:30人・288か所を調べた研究では、接触点から骨の頂点までの距離が5mm以下なら、ほぼすべての部位(98%以上)で歯ぐきがすき間を埋めていました。6mmでは56%、7mm以上では27%以下に下がりました。
出典:Tarnow DP ほか. Journal of Periodontology, 1992

この方は、以前の矯正でIPRをしたかどうかは分からないとのことでした。

再矯正ではなく、ラミネートベニアを選んだ理由は?

IPRをしてもう一度矯正する方法も考えられました。ただ、この方はすでに2回矯正を受けていて、3回目の矯正はご負担が大きいものでした。これがラミネートベニアを選んだいちばんの理由です。さらに「短く幅広い歯を、もう少し都会的な印象にしたい」「黄みをとって顔色に合う色に、ただし不自然な白さは避けたい」というご希望もありました。矯正では歯の形と色は変わりません。すき間と形と色を一度に整えられるラミネートベニアが、この方には合っていると判断しました。

オープンバイトと、左右で長さの違う犬歯はどう設計しましたか?

奥歯でしっかりかんでも前歯が当たらない「オープンバイト」がありました。そのため、前歯の長さを少し伸ばすことは問題ないと考えました。ただし長くしすぎると下の歯とぶつかり、ラミネートが外れたり割れたりする原因になります。装着の際にかみ合わせを調整しました。

犬歯は、右上がすり減って短く、左上が長い状態でした。長い左上の犬歯を右に合わせて大きく削ると、しみる症状が出て、最終的にクラウン(被せ物)が必要になるおそれがあります。そこで右上はすり減る前の形に戻すように少し長くし、左上は少しだけ短くして、左右の長さを歩み寄らせました。

歯はどのくらい削りましたか?

セラネートは、削らない、または削る量を最小限にすることを基本にしています。この症例では、左上の犬歯を除く7本は0.2mm以内で、麻酔なしで形を軽く整えただけです。左上の犬歯だけは、ご希望のデザインに合わせるために約0.7mm削り、しみないよう麻酔をしました。削るかどうかと削る量は、歯の形・位置・色によって症例ごとに決まります。詳しくはコラム「歯を削らない、または最小限に削るラミネート」とは?でご説明しています。

色はどう決めましたか?

ラミネートは色がとても大切で、理想の色は人によって違います。当院では、化粧室の照明、待合室、自然光など、いろいろな光の下で20分ほど時間をかけて確認していただきます。ラミネート自体にも色がありますが、ご本人の歯の色も1本ずつ違うことがあります。そこで顔色やイエローベース・ブルーベースに合わせた数色の接着剤を用意し、歯ごとに色を合わせています。この方は、いろいろな光で色を確認したうえでその色に決められたため、そのまま装着しました。

治療の結果は?

前歯のあいだのブラックトライアングルは見えなくなり、保定装置のワイヤーも見えなくなりました。短く幅広かった前歯は長さと幅の比率を変え、犬歯は左右の長さを歩み寄らせて整えています。色はご希望どおり明るい印象にしながら、歯ごとのトーンをそろえました。写真は補正していない元の写真です。

治療後:上の歯8本のラミネートベニアで、ブラックトライアングルと歯の形・色を整えた状態(写真は無補正)
治療後:上の歯8本のラミネートベニアで、ブラックトライアングルと歯の形・色を整えた状態(写真は無補正)

装着後にしみる症状はなく、装着から1年後の検診でも問題はありませんでした。前歯の長さを伸ばしているので、これからも定期検診で、外れや割れがないか、下の歯との当たり方が変わっていないかを確認していきます。

渡韓して治療する場合、日程と費用はどのくらいですか?

  • この症例:相談当日に歯の準備(形成)、翌日に色を確認して装着。来院2回・計2日でした。
  • 一般的な目安:海外からお越しの方のラミネートは、通常1〜2週間で2〜3回の来院です。本数、かみ合わせ、色の確認によって日程は変わります。
  • 滞在:最終装着のあと、帰国便まで1〜2日の予備日をおすすめしています。
  • 費用:セラネートは1本55万〜77万ウォン(税込、素材・加工により)、日本円で1本約6.5万〜9.1万円が目安です。この症例と同じ8本なら440万〜616万ウォン(約52万〜73万円)です。料金は韓国の方と同じです。
  • 為替:2026年10月23日の基準レート(100円=844ウォン)で換算しました。実際のお支払いは為替によって変わります。
  • 治療費以外:航空券と宿泊費が別にかかります。

日程の立て方は「歯科治療のための渡韓、何日必要?」、費用の比べ方は「韓国のラミネートベニア料金は?」にまとめています。

ブラックトライアングルの治し方は、ラミネートベニアだけですか?

いいえ。すき間の大きさ、歯の形、歯ぐきの状態によって、IPRを組み合わせた矯正、レジン(樹脂)で埋める方法、ラミネートベニアなどから選びます。今回の方は再矯正の負担が大きかったためラミネートを選びましたが、初めて矯正を考えている方なら、まずIPRを含む矯正で治せるかを確認するのが順番です。歯ぐきが下がってできたブラックトライアングルには、歯肉整形を組み合わせることもあります(70代の方の症例)。

よくある質問

矯正でブラックトライアングルができることはありますか?

あります。重なっていた歯が矯正でまっすぐに並ぶと、それまで隠れていた歯と歯のあいだのすき間が見えるようになることがあります。成人の矯正患者337人を調べた研究では、上の真ん中の前歯のあいだに約38%で見られました。矯正の失敗というより、歯の形や歯ぐき・骨の状態が関係していることが多いです。

ブラックトライアングルは、もう一度矯正すれば治りますか?

小さくできることがあります。歯の側面をわずかに削って(IPR)すき間を寄せ、歯と歯が接する位置を歯ぐき側に下げる方法です。ただし期間がかかるため、すでに矯正を受けた方や、歯の形や色も変えたい方には、ラミネートベニアのほうが合うこともあります。

ラミネートベニアで歯を削ると、しみますか?

削る量が多いほど、しみる可能性が高くなります。この症例では5本を0.2mm以内にとどめて麻酔なしで行い、デザインのために約0.7mm削った左上の犬歯だけ麻酔をしました。装着後にしみる症状はありませんでした。

渡韓して2日で終わりますか?

この方は相談当日に歯の準備をして翌日に装着できたため、来院2回・2日でした。ただし本数やかみ合わせ、色の確認によって日程は変わります。海外からお越しの方には、通常1〜2週間で2〜3回の来院と、帰国便まで1〜2日の予備日をおすすめしています。

帰国後に外れたり割れたりしたら、どうすればいいですか?

外れたセラネートは捨てずに保管し、写真を添えて公式LINEでご連絡ください。付け直せるか作り直しが必要かを判断します。付け直しや作り直しには来院が必要です。

執筆・監修

キム・ソンミン(金善敏) セラミック歯科 代表院長

矯正歯科専門医(韓国保健福祉部)、東京医科歯科大学 博士、日本矯正歯科学会 正会員。日本語でのご相談は院長が直接担当します。

ご注意

※ 実際の治療症例です。治療の結果、期間、来院回数には個人差があります。

※ ラミネートベニアは、症例によっては歯を削る必要があります。装着後にしみる症状、割れや外れ、歯ぐきの変化が起こることがあり、定期的な検診が必要です。

※ 写真は歯の部分のみ、患者さまの同意を得て掲載しています。費用は2026年10月時点のものです。

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