症例 · 審美補綴
逆流性食道炎による酸蝕歯|前歯8本を神経を残してオールセラミッククラウンで治療した症例
逆流性食道炎で胃酸が口まで上がってくると、歯が溶ける「酸蝕症」が起こることがあります。この症例は、前歯をきれいにしたいとラミネートを希望して来院された30代後半の女性でしたが、検査で上の前歯の裏側が大きく溶けていることが分かりました。そこで裏側まで包むオールセラミッククラウンに変更し、8本すべての神経を残して治療しました。
症例のまとめ
- お悩み:前歯の色を明るくしたい。欠けた先端をそろえたい(30代後半女性)
- 診断:長年の逆流性食道炎による酸蝕症。上の前歯の裏側の約半分が溶け、象牙質が出ている。先端が薄く欠けている。軽いオープンバイト(前歯が十分に重ならない)。右上の犬歯が出ている
- 治療:上の前歯8本(犬歯・側切歯・中切歯)をオールセラミッククラウンに
- 神経:8本すべて残して治療
- かみ合わせ:上の前歯が下の前歯を約1mm覆うように設計

逆流性食道炎で、なぜ歯が溶けるのですか?
逆流性食道炎は、胃酸が食道へ逆流する病気です。胃酸が口の中まで上がってくると、歯の表面が酸で溶ける「酸蝕症」が起こることがあります。
胃酸が上がってきたり吐いたりするとき、舌は下の歯をおおうように動くため、下の歯は比較的守られます。一方、上の前歯の裏側は酸に直接さらされやすく、そこから溶けていくことがあります。初めは気づきにくいのですが、進むと象牙質が出て、さらに進むと神経の治療が必要になることもあります。

なぜラミネートではなく、クラウンにしたのですか?
ラミネートベニアは歯の表側だけをおおうため、見た目は整えられても、裏側で進む酸蝕は止められません。この方は裏側の約半分が溶けていたため、表も裏も包むオールセラミッククラウンのほうが歯を守れると判断し、治療方法の変更をおすすめしました。
- ラミネートベニア:表側だけ。裏側の酸蝕は防げない
- オールセラミッククラウン:歯全体を包み、裏側も守る。見た目も整えられる

治療で何を目標にしたのですか?
- 上の前歯8本を、神経の治療をせずにオールセラミッククラウンで修復する
- 上の前歯が下の前歯を約1mm覆うように歯の角度を整え、軽いオープンバイトを改善する
- 出ていた右上の犬歯の形を整え、先端のラインをそろえる
治療の結果は?
8本のクラウンを装着した直後から、歯ぐきとの境目は自然になじみ、先端のラインもそろいました。上の前歯が下の前歯を約1mm覆うかみ合わせになり、かみ合わせも安定しています。何よりも、溶けていた裏側をクラウンで包んで守れたこと、8本すべての神経を残せたことが、この症例の大きな意味です。


渡韓して治療する場合の日程と費用は?
クラウンの本数やかみ合わせの調整によって日程が変わるため、レントゲンと口腔内写真を拝見してからご提案します。
費用の目安(前歯1本):オールセラミック・ジルコニアクラウン70万ウォン(約8.3万円)、PFZクラウン80万ウォン(約9.5万円)。2026年10月23日の基準レート(100円=844ウォン)で換算した目安です。
よくある質問
酸蝕症は自分で気づけますか?
初めは気づきにくいです。前歯の先端が薄く透けて見える、欠けやすい、しみるといった変化があれば、歯科で確認してください。
逆流性食道炎の治療もしたほうがいいですか?
はい。胃酸の逆流が続くと、残っている歯や詰め物にも影響します。内科での治療と並行することをおすすめします。
クラウンにすると神経をとる必要がありますか?
必ずではありません。この症例では8本すべての神経を残しました。歯の状態によって判断します。
ラミネートを希望していても、クラウンになることはありますか?
あります。この方のように裏側の問題がある場合は、見た目だけでなく歯を守る方法をご提案します。
この症例は当院で治療したものです。記事の内容は、矯正歯科専門医の代表院長が監修しています。
監修者
キム・ソンミン(金善敏) セラミック歯科 代表院長
矯正歯科専門医(韓国保健福祉部)、東京医科歯科大学 博士、日本矯正歯科学会 正会員。日本語でのご相談は院長が直接担当します。
ご注意
※ 実際の治療症例です。治療の結果、期間、来院回数には個人差があります。
※ ラミネートベニアやクラウンは、症例によって歯を削る量が変わります。削らない、または削る量を最小限にできる場合もありますが、診断で決まります。装着後にしみる症状、割れや外れ、歯ぐきの変化が起こることがあり、定期的な検診が必要です。
※ 写真は歯の部分のみ、患者さまの同意を得て掲載しています。費用は2026年10月時点のものです。
