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重い過蓋咬合と出っ歯を手術なしで矯正した症例|アンカースクリューで前歯を上へ

監修:キム・ソンミン(金善敏) セラミック歯科 代表院長・矯正歯科専門医 · 最終更新 2026-10-23

深い過蓋咬合は手術でしか治せない、と思われている方はまだ多いです。この症例の20代の女性も、以前に手術を勧められ、「手術をするくらいなら何もしない」と考えていた方でした。私が診断したところ、量が多いだけで、力のかけ方そのものは軽い過蓋咬合と同じでした。アンカースクリューで上の前歯を上へ動かす、手術なしの矯正で治療しました。

症例のまとめ

  • お悩み:出っ歯(いわゆるウサギのような前歯)を治したい。笑うと歯ぐきも大きく見える(20代女性)
  • 診断:上の前歯が下の前歯をほぼ完全に覆う重い過蓋咬合、前歯の突出、歯並びの乱れ、上の歯列の幅が狭い。過蓋咬合が取れると大きなオーバージェット(前後の差)が出ると予想
  • 治療:上下の装置、上のアンカースクリューで前歯を上へ(圧下)、上の小臼歯の抜歯で前歯を後ろへ、上の親知らずの抜歯
  • 予定期間:約20〜24か月 → 実際は約2年で終了
  • 手術との比較:顔の長さを短くする効果は手術のほうが大きいが、かみ合わせと口元の改善は手術なしで十分に得られた
重い過蓋咬合 手術なしの矯正 治療前と治療後
重い過蓋咬合 手術なしの矯正 治療前と治療後

深い過蓋咬合は、手術なしで治りますか?

以前は、上の前歯を上へ動かす(圧下)には、頭にかける装置(ヘッドギア)に頼るしかなく、大人には現実的ではありませんでした。そのため「重い過蓋咬合=手術」と考えられていました。

今はアンカースクリュー(ミニスクリュー)を歯ぐきの骨に入れ、そこから前歯に力をかけて、効率よく上へ動かせるようになりました。この方は量が多いだけで、仕組みは軽い過蓋咬合と同じだったため、手術なしで十分に治せると判断しました。

治療前:かみしめると下の前歯がほとんど隠れる重い過蓋咬合
治療前:かみしめると下の前歯がほとんど隠れる重い過蓋咬合
治療前の側面レントゲン:上の前歯が下唇を押している
治療前の側面レントゲン:上の前歯が下唇を押している

どんな計画で治療したのですか?

  • 1段階:上下に装置をつける
  • 2段階:上にアンカースクリューを入れ、前歯を上へ動かし始める
  • 3段階:上の小臼歯を抜歯し、そのスペースで前歯を後ろへ
  • 4段階:上の親知らずを抜歯(下の親知らずは不快感があれば抜歯)
  • 5段階:並べたあと、歯と歯のあいだの黒い三角形が出る部分は少し削って(IPR)すき間を閉じる

過蓋咬合が取れると、隠れていた大きな前後の差(オーバージェット)が出てくると予想できたため、最初から抜歯の計画にしました。予定期間は約20〜24か月でした。

治療開始時:アンカースクリューを入れ、小臼歯を抜歯した状態
治療開始時:アンカースクリューを入れ、小臼歯を抜歯した状態

治療中の変化は?

アンカースクリューを使った前歯の圧下が進むにつれ、過蓋咬合が少しずつ解消し、隠れていた下の前歯が見えるようになりました。矯正は長い治療なので、こうした変化を一緒に確認しながら進めることが大切です。

治療中:過蓋咬合が少しずつ解消し、下の前歯が見えてきた
治療中:過蓋咬合が少しずつ解消し、下の前歯が見えてきた

治療の結果は?

約2年で治療を終えました。過蓋咬合は正常な範囲に戻り、上下の歯並びもきれいに整いました。側面のレントゲンでは、前歯が内側・上へ移動したことで、それまで下唇を押していた状態がなくなり、力を抜いた状態で自然に唇が閉じられるようになっています。

正直に言うと、手術をしていれば、前歯を上げると同時に顔の長さを少し短くする効果も期待できました。ただ、その差のために手術という大きな選択をするかどうかは、ご本人の希望と好みで決めることだと私は考えています。

治療後:上の歯並び
治療後:上の歯並び
治療前後の側面レントゲン:前歯の移動に合わせて唇が自然な位置に
治療前後の側面レントゲン:前歯の移動に合わせて唇が自然な位置に

手術と手術なし、どう選べばいいですか?

  • 過蓋咬合の解消:手術なしでも可能/手術でも可能
  • 前歯の突出の改善:手術なしでも可能/手術でも可能
  • 顔の長さの短縮:手術なしでは限られる/手術で可能
  • 全身麻酔・入院:手術なしでは不要/手術では必要

歯の機能という点では大きな差はありません。顔の変化をどこまで求めるかによって選んでいただければと思います。

よくある質問

アンカースクリューは痛いですか?

局所麻酔をして入れます。入れたあとしばらく違和感が出ることがあり、周りの炎症や脱落が起こることもあります。

抜歯は必要ですか?

この方は前後の差が大きく出ると予想されたため、上の小臼歯を抜歯しました。抜歯が必要かどうかは診断で決めます。

ガミースマイルも治りますか?

前歯を上へ動かすことで、歯ぐきの見え方が改善することがあります。どこまで変わるかは骨格によります。

治療後に戻りませんか?

保定装置(リテーナー)を指示どおり使うことが大切です。

監修者

キム・ソンミン(金善敏) セラミック歯科 代表院長
矯正歯科専門医(韓国保健福祉部)、東京医科歯科大学 博士、日本矯正歯科学会 正会員。日本語でのご相談は院長が直接担当します。

ご注意

※ 実際の治療症例です。治療の結果、期間、通院回数には個人差があります。

※ 矯正治療中は、一時的な痛みや違和感、歯ぐきの下がり、歯根吸収が起こることがあります。治療後に保定装置(リテーナー)を使わないと後戻りすることがあります。アンカースクリュー(ミニスクリュー)は、周りの炎症や脱落が起こることがあります。

※ 写真は歯とレントゲンの部分のみ、患者さまの同意を得て掲載しています。

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